コラムColumn
熱処理とは part1
- Publish :
- 2024.04.01
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◇ アルミニウム合金の熱処理
熱処理(heat treatment)とは、完成製品に要求される特性を生み出すため、加熱・冷却により素材の硬度や性質を様々に調整・変化させる処理をいいます。アルミニウム合金には非熱処理合金と熱処理合金の2種類あり、熱処理による調質(T)は熱処理合金に行われる処理です。
熱処理合金は、ある特定の熱処理を行い、添加した元素からできた化合物を細かく・多量に析出させ、強度を変化させます。 強度が高くなるのは、溶体化処理、焼き入れ処理を行い、その後に時効処理を行うという特殊で複雑な処理を施しているからです。
溶体化処理・焼き入れ処理とは
溶体化処理とは、アルミ合金中に存在する溶け込んでいない元素を均一に溶け込ませることです。 加元素を最大限に溶け込ませるため、アルミ合金を比較的高温にしますが、その温度は合金によってある程度決まっています。溶体化処理は温度管理が重要であり、温度が低い場合は十分な固溶状態が作れず、強度が思うように高くなりません。反対に、温度が高すぎる場合は、液体と固体が共存している状態になるため、部分的に溶けてしまう現象(バーニング)が現れます。
溶体化処理後は、必ず焼き入れ処理が必要となります。溶体化処理によって得られた固溶状態を急速に冷却します。これにより、合金が室温になったときでも、高温で加熱したときと同じような状態を保つことができます。この状態にされた材料を、過飽和固溶体といいます。この処理は焼き入れ時の冷却速度が重要であり、冷却速度が著しく遅いと、過飽和固溶体が上手くできず、時効処埋後に強度が高まらないことがあります。特に、焼き入れに対して非常に鈍感な7000系などは焼き遅れのないよう、溶体化処理直後に焼き入れを行います。