コラムColumn
結晶微細化処理とは
- Publish :
- 2024.01.15
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1.必要性
●凝固組織(鋳造組織)が微細で均一なほど強度やじん性(伸びや衝撃値など)は高い値を示すことが知られている。
従って、実際の溶解・鋳造では組織をできるだけ微細にすることが行われている。
●アルミニウム合金鋳物・ダイカストの組織は、基本的に初晶α-Al固溶体(Al中に合金元素が少し溶け込んでいる固相)の
デンドライト結晶と共晶とで構成されている。これらの組織が均一で微細に分布すればするほど機械的性質は向上する。
2.結晶微細化処理
●多くのアルミニウム合金は、初晶α-Alデンドライト結晶の生成量が大部分を占めている。従って、α-Alデンドライトの
大きさが凝固後の結晶粒の大きさを決めることになる。
●初晶α-Alデンドライトを微細にするには、デンドライトの生成数を増すことにより個々のデンドライトの成長を抑えて
小さいままにすることである。初晶α-Alデンドライトの生成数を増すには2つの方法がとられている。
①鋳型への鋳造後、溶湯の冷却速度をできるだけ速くし、凝固が開始する時の過冷却を大きく発生させる。
② α-Al結晶の「種」になる物質を溶湯に添加し、α-Al結晶を沢山生成させる。
●②の「種」になる物質を「異質核」と言い、「異質核」を多く添加することによりα-Al結晶のデンドライトの生成数を多くし、
大きさを微細にすることができる。
●結晶微細化は初晶の結晶だけでなく、その後に生成する共晶や金属間化合物も同様に微細化する。