- 羽後
- 私も家族がいるので、上田さんが先程おっしゃっていた待遇の良さというのは重要なポイントです。給与面と休日の多さで見ると、業界内でも高水準ではないかと思います。特に年間休日が120日以上というのは、製造業には珍しいのではないでしょうか。ただ、その側面だけでは続かないと思うので、やはりやりがいを感じられるというのが一番大きいです。営業担当という会社の窓口のような役割を任せていただいている以上、何かあった時にお客様から怒られるのは私なので、その分落ち込むこともありますし、きついなと思う瞬間ももちろんあります。その一方で、嬉しいお声も直接いただける立場でもあるんですよね。私たちは品質と納期がすべてだと思うので、それに対して喜んでいただけたり、「羽後くん、フットワークが軽いね」と言っていただけたりするとやはり嬉しいですね。もっと頑張ろうと思える瞬間です。私自身は製造に携わっていない分、お客様に製品を届けられるのも、嬉しいお声をいただけるのも、自分だけの力でないことは常に感じています。社内の仲間もそうですし、グループ会社や協力会社の方々、皆さんの力があってこそのことだと思うので、感謝の気持ちを常々抱いています。時には、協力会社さんに無理をお願いして、徹夜で対応してもらうということもありました。そんな風に、いざという時に手を差し伸べてもらえるような関係性を築けたことが、私としては意義のあることだと感じています。私一人で完結できないからこそ、やりがいがあるのかもしれないですね。
- 上田
- 羽後くんの話とも通じる部分がありますが、やりがいを感じたりモチベーションを保ち続けたりするために重要なのが、人、周りの方々との関係性だと思っています。そんな風に考えるようになったのは、会長から「三方四得」という言葉を聞いたことがきっかけで。翔陽に入社するまでは、周囲の関係する方々ともあくまでも仕事として接していた場面が多かったと思います。でもここへ入社して、お客様や仕入先様、協力会社さん、従業員の皆さん、関わる方々に感謝の気持ちを持ち、皆さんに得を積んでもらうという心構えを教えてもらいました。仕事ができるようになったとか、役職についたとか、もちろんそういったことも大切だとは思いますが、私としては、人として成長させてもらえたというのが、この会社に入ってよかったと一番感じるところです。
あと、一人一人の意見や意志を尊重してもらえるというのもよいところだと思います。入社当初、現場で経験を積む中で、鋳造作業者として誰にも負けない職人になると意気込んでいましたが、1年半ほど経った頃、会社から営業を担当してほしいという話がありました。正直、現場に未練はありましたが、会社から求められるのであればそちらの方が会社に貢献できるのではないかと感じたので、すぐに「やります」と返事をしました。もちろん営業が嫌という思いはまったくなく、仕事にもやりがいを感じていたんですが、現場を見ていると、どうももどかしく思う場面があって。なんとかして現場を変えたいという思いが募り、社長(現会長)へそれを伝えると、「それなら現場の管理職を」ということで、品質保証課長という役割を任せていただきました。やはり声を拾ってもらえたというのは嬉しかったですし、その分頑張らなくてはと気が引き締まりましたね。 - 町田
- 私はまだ目の前のことに精一杯な状況で。やりがいを感じられるのは、もっと経験を積んだ先なのかもしれないですね。できることが増えていけば、達成感とか喜びを感じる瞬間が見えてくるのかなと思います。現時点では、以前の会社で行っていたことの延長線のようなものなので。少しずつできることを増やしていきたいと思っています。自分自身では、頭を使うより身体を動かす作業であったりとか、地道にこつこつと作業をすることが性分にあっていると思うので、今の仕事を苦に思うことはないですね。あらためてそう考えると、やはり鋳造が好きなのかなと思います。会社の雰囲気も、厳しく叱咤されたり、細かく指摘されたりということが滅多にないので、それも肌に合っているのかなというのは感じます。
- 上田
- たしかに締めつけ感のようなものはないかもしれないですね。よい意味で言うと自由度が高いですが、悪い意味で捉えると締まりがないとか、統率がとれていないと言われるかもしれませんが。一般的に、製造業ではその日一日の作業量のノルマとか、細かな数量の指示があると思うんです。でも当社は、厳密に数字のノルマというのは課さない方法をとっています。数字主義の方針をとるのであれば、細かく取り仕切る必要はあると思いますが、私としては各々で考えてもらいたいと思っていて。それに私は、自分がよければよいという考え方が好きではないんです。例えば、鋳造機が4台ある中で、1台だけ毎日きちんとノルマをクリアしていた場合、もしその他の3台がノルマを達成していないのであれば、他の人も同様にできるように教えてあげてほしいなと思うんです。その1台の数が落ちてもよいので。なので、数に囚われるのではなく、自己成長しかり他人の成長をサポートするような環境づくりは心がけています。だからこそ、事細かく指示をしたり、分刻みのスケジュールを組んだりということはしていないんですよね。今日は何をつくる、何を出荷するという形で大まかに予定を組んでいます。私からすれば、その予定に間に合うのであれば誰が何をしていてもよいと思っていて。どうすれば効率よく進められるか、現場の皆さんで考えて進めてくださいという指示しかしていません。そこでコミュニケーションもはかることができるとも思っているので。自由度の高い環境化であるというのは、尼崎工場ならではのところかなと思います。以前は、尼崎工場でも細かくタイムマネジメントしてという方法をとっていましたが、各工程にスペシャリストがいる中で、それぞれがその工程だけ、自分のところがよければよいという風に見受けられたんです。それは全体像で捉えると、よくないことなんですよね。それならば、その力を分散したいですし、一定の人に偏りのないよう負担も軽減したいと思いました。そういった経緯があって今のやり方に辿り着きましたが、そこは柔軟に考えて、もし今のやり方で上手くいかないならば元に戻すというのも考えています。もちろん私なりの考えは持っていますが、それを押し付けるようなことはしたくないので、皆さんの意見を聞いてベストな形を生み出すのが一番よいかなと考えています。今のやり方にしようと決めたのも、現場の皆さんがこの方法を選ばれたことが理由です。そのプロセス、やり方として何が正解かはやってみないとわからないじゃないですか。最後は私が責任をとるという覚悟を持って、今後も皆さんと意見交換しつつ試行錯誤を続けたいと思います。