コラムColumn
鋳造方案について
- Publish :
- 2023.11.27
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〇鋳造方案
高温で流動性のある溶湯を鋳型のなかに万遍なく行渡らせ、鋳型内部で凝固・収縮して いく過程で欠陥を生じさせることなく、目的とする良質な製品を完成させるために鋳造に関わる各要素の企画・設計を行うことを言います。
鋳造方案の流れ
①鋳造姿勢の選択は鋳型の設計に関わり、鋳型の天地、型割面の設計などが対象になります。
②凝固条件の選定は溶湯が鋳型内で凝固・収縮していく過程の見きわめと、収縮個所への溶湯の補給を行う押湯設計に関わります。
③湯口系の設定は溶湯を鋳型のなかに行渡らせるための溶湯の流路( 湯口・湯道 ) 設計に関わります。
④健全性の評価は溶湯の注入、凝固・収縮の過程の中で鋳型内で欠陥の発生する個所の有無を予測し、設計した方案が健全なものかどうかを評価します。
この鋳造方案に従って一つの製品を完成させるために注ぎ込まれた湯の全重量を鋳込み重量と呼びます。
湯口・湯道について
鋳型に溶湯を注ぐための流路全てを指し、湯口、湯道、堰などから成り立っています。
まず溶湯は受け口から注がれるが、その形状は注ぎやすいような形状にし、滓と一緒に一気に湯が流れ込まないように湯溜りが設けられる事があります。受け口は湯口につながり、湯口と堰との間を湯道が結んでいます。堰とは鋳型に入る直前の部分を言います。
また、湯口断面積:湯道総断面積:堰総断面積=S:R:Gを湯口比と言い、湯口系を決定する重要な因子となっています。
このような部分からなる湯口系の設計が悪いと、溶湯が鋳型内の空間を完全に満たす前に凝固したり、鋳型内の空気が溶湯と反応してガス欠陥を生じるなど様々な欠陥を発生させます。
押湯について
鋳型のなかの溶湯は凝固・収縮によって鋳型の内部空間の容積よりも小さくなり、「ひけ」を発生させます。特に肉厚の大きいところに起こりやすくなります。
この「ひけ」の発生を抑えるため、湯溜りを設け溶湯を補給し最後に凝固させます。これを押湯と言います。押湯が効果を発揮する範囲は限定されるため、その位置や数を凝固条件を考え設計に反映させます。
また肉厚の大きいところでは冷却速度が不均一になり「ひけ巣」が発生します。これを防ぐために熱伝導率の大きい金属棒、あるいは黒鉛などを鋳物表面に当てたり差し込んだりします。これを「冷し金」と言います