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コラム
Column

アルミニウム合金ダイカストとは

Publish :
2024.10.01
Category :

アルミニウムダイカストは、産業分野の様々な製品に用いられています。

その占有率はダイカスト全体の約97.9%を占め、もっとも使われている合金です。

特徴

アルミニウム合金ダイカストは、密度が約2.7g/cm3であり、「軽量である」、「耐食性に優れている」点において秀でています。

耐食性とは、金属が腐食しにくい、つまり、錆びにくいということ。つまり、時間を経ることによる寸法変化が少ないことが特徴です。

JIS(日本工業規格)では、合金が含有する化学成分によって種類が規定され、アルミニウム合金ダイカストは20種類あります。

大きく分けて、Al-Si系合金と、Al-Mg系合金の2種類があり、前者のAl-Si系合金はさらに、Al-Si系、Al-Si-Mg系、Al-Si-Cu系に分類されます。

現在、日本で多く使用されているのはAl-Si-Cu系のADC12合金です。

用途

1) ADC1(Al-Si系)

ADC1は優れた耐食性を有します。

また、金型内での流動性が高いことから、鋳造加工しやすい特徴をもっています。

しかし、耐力については比較的低値。使用される例としては、メインフレームやフロントパネルなどの自動車部品、この他には建築部材などが挙げられます。

2)ADC3(Al-Si-Mg系)

ADC3は、衝撃性が高く、耐食性にも優れています。

その反面、鋳造する際の加工のしやすさ(鋳造性)にはやや劣ります。

使用される例としては、ホイールキャップなどの自動車部品、クランクケースなどの二輪車部品、ホイールなどの自転車部品、プロペラなどの船外機部品などが挙げられます。

3)ADC5(Al-Mg系)

ADC5は非常に高い耐食性をもち、高い伸びと衝撃強さが特徴です。

その反面、鋳造性に劣ります。使用される例としては、アームなどの農機器、プロペラなどの船外機部品、レバー・スプールなどの釣り具部品などが挙げられます。

4)ADC6(Al-Mg-Mn系)

ADC5に近い耐食性を有しています。

鋳造性の面ではADC5と比較すると優れており、Al-Si系に比べると劣っています。

使用される例としては、ウインカーホルダーなどの二輪車部品、プロペラケースなどの船外機部品などが挙げられます。

5)ADC10、ADC12(Al-Si-Cu系)

ADC10、ADC12は機械的性質と鋳造性に優れており、両者ともにアルミニウム製のほとんど全ての製品に用いられています。

使用される例としては、トランスミッションケース、シリンダヘッドカバー、ハードディスクケース、ミシンアーム、ガス器具、電動工具などが挙げられます。

もっとも多く使用されているアルミニウム合金です。

6)ADC14(Al-Si-Cu-Mg系)

ADC14は耐磨耗性に優れる特徴をもっています。

その反面、伸び、衝撃強さについては劣っており、シリンダブロック、エアコン、シフトフォークなどの自動車部品に用いられています。

化学成分, 質量%
合金名CuSiMgZnFeMnCrNiSnPbTiAl
ADC1≦1.011.0
~13.0
≦0.3≦0.5≦1.3≦0.3≦0.5≦0.1≦0.20≦0.30残部
ADC3≦0.69.0
~11.0
0.4
~0.6
≦0.5≦1.3≦0.3≦0.5≦0.1≦0.15≦0.30残部
ADC5≦0.2≦0.34.0
~8.5
≦0.1≦1.8≦0.3≦0.1≦0.1≦0.10≦0.20残部
ADC6≦0.1≦1.02.5
~4.0
≦0.4≦0.80.4
~0.6
≦0.1≦0.1≦0.10≦0.20残部
ADC102.0
~4.0
7.5
~9.5
≦0.3≦1.0≦1.3≦0.5≦0.5≦0.2≦0.2≦0.30残部
ADC10Z2.0
~4.0
7.5
~9.5
≦0.3≦3.0≦1.3≦0.5≦0.5≦0.2≦0.2≦0.30残部
ADC121.5
~3.5
9.6
~12.0
≦0.3≦1.0≦1.3≦0.5≦0.5≦0.2≦0.2≦0.30残部
ADC12Z1.5
~3.5
9.6
~12.0
≦0.3≦3.0≦1.3≦0.5≦0.5≦0.2≦0.2≦0.30残部
ADC144.0
~5.0
16.0
~18.0
0.45
~0.65
≦1.5≦1.3≦0.5≦0.3≦0.3≦0.2≦0.30残部