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コラム
Column

熱処理とは part2

Publish :
2024.04.15
Category :

時効処理とは

時効処理は、アルミ合金の強度、硬さを向上させる熱処理工程の一つで、この処理を施すことによりアルミニウム合金中に溶けている元素の析出がおこり、この析出物が転位の動きを止めることで強度を高めます。

焼き入れ後の過飽和固溶体とは、言ってみれば材料が不安定な状態で、常に室温で安定な状態になろうと析出物を出そうとします。室温に放置しておく処理(室温時効)で十分に強度が上がる合金もありますが、これだけでは十分な強度は得られません。従って、人為的に高い温度を加え、強度を高める必要があり、この処理を人工時効といいます。

時効処理では、化合物をいかに細かく多量に析出させるかが、強度を決めるポイントとなります。人工時効処理を低温で長時間行うことで細かな化合物を多く析出させることができますが、効率的な温度と時間を設定し、必要な強度を得るようにします。つまり、人工時効における温度と時間によって強度は決まります。

熱処理用語

・溶体化処理/solution heat treatment 

合金において、一般的に温度が高くなるほど基本金属に加える合金元素は溶け込みやすくなります。したがって、合金固有の温度に加熱した後急冷すると、低温では析出するはずの合金元素が固溶(溶け込み)したままとなります。これを固溶化処理といい、非鉄金属(主にアルミニウム合金)では「溶体化処理」もしくは、「焼き入れ処理」と言う。(アルミニウム合金 450℃~550℃前後)

・焼入れ/quenchig 

一旦、加熱、保持したものを急冷するもので、常温の水や60℃~80℃の水で冷やすことが多い。刃物の焼入れでよく知られている様に、硬度、耐摩耗性を得ることができるが、反面もろくなったり、残留応力が生じ条件によっては焼割れ、焼曲がりが発生する。 

・焼なまし/annealing 

「焼鈍(ショウドン)」ともいう。再結晶温度に加熱、保持の後、普通炉冷によりゆっくり冷します。残留応力の除去、材料の軟化、切削性の向上、冷間加工性の改善、結晶組織の調整などを目的とします。また合金種、目的により加熱温度と徐冷の方法が変わってきます。 

・焼ならし/normalizing 

「焼準(ショウジュン)」ともいう。圧延・鋳造、鍛造などで製造された製品内部の残留応力を除いたり、粗大化した結晶粒を微細化し、靭性や機械的性質の改善をはかるものです。

・焼戻し/tempering
焼入れ材を適温に再加熱し冷却することを焼戻しという。焼き入れした材料は硬くなりすぎたりもろくなり、実用に適さない場合があります。こうした欠点の改善や、焼入れによって生じた残留応力の除去を目的とした焼入れ処理後の再熱処理といえます。

またアルミニウム合金では「人工時効硬化」がこの焼戻しにあたります。150~200℃の加熱、空冷を低温焼戻しといい、残留応力の除却、焼割れや寸法変化を防ぎます。400℃以上の加熱後、水や油で急冷することを高温焼戻しといい、主に靭性(ねばり)を改善をはかります。